フォーエバーヤングが、世界最高峰のダートレースであるブリーダーズカップ・クラシック(G1)を制覇するという、日本競馬史上初の快挙を成し遂げました。この歴史的な勝利は、日本競馬の悲願を達成した一方で、年末から年始にかけて行われる2025年度JRA賞・年度代表馬選考において、最大の論争を巻き起こしています。
- 「BCクラシック制覇は、国内のG1勝利より評価が低いの?」
- 「なぜ、海外の最高峰を勝っても選ばれない可能性があるの?」
- 「JRA賞選考における『海外G1の価値』とはどう考えられているのだろう?」

この記事を読むことで、フォーエバーヤングの偉業に対する評価の難しさ、そして年度代表馬選考における「海外と国内の序列」という、競馬界が長年抱えるテーマについて、詳しく知ることができます。
BCクラシック制覇の歴史的重み 日本競馬の30年近い悲願

フォーエバーヤングが制したBCクラシックは、「世界一決定戦」とも呼ばれるブリーダーズカップのメインレースであり、アメリカ競馬の頂点に位置する非常に重要な一戦です。
日本馬は1996年以来、このレースに挑み続けてきましたが、約30年かかってようやく辿り着いた悲願の勝利でした。
この快挙は、単なる一勝ではなく、日本馬が世界の頂点で通用することを証明したという意味で、その歴史的価値は計り知れません。
彼の功績が年間を通じて最も優れた馬に贈られる「年度代表馬」にふさわしいことは、多くのファンが認めるところです。
しかし、その選考には「海外のレースであること」という大きな壁が立ちはだかっています。
JRA賞選考の現状 「海外G1」が評価されにくい構造
2025年度のJRA賞・年度代表馬は、年明けの選考委員会で決定されるため、現時点では未発表です。
しかし、BCクラシック制覇が論争の的となる背景には、JRA賞の歴史的な選考傾向があります。
1. 選考の主眼は「JRA主催レース」:JRA賞は、あくまでJRA(日本中央競馬会)の競馬記者や関係者が選ぶ賞であり、その選考基準は国内の芝で開催されたG1レース(天皇賞・秋やジャパンカップなど)の成績に主眼が置かれやすい傾向があります。
2. 海外G1馬でも選ばれない前例:過去、日本馬が海外のビッグレースを制覇した際も、国内の主要G1を勝っていない場合、「特別賞」に留まるケースが多くありました。選考委員の中には、「年度代表馬は、日本国内の競馬界で最も盛り上がりと功績を生み出した馬であるべき」という考え方があり、海外レースの勝利が国内G1複数勝利と比較された際、票が分散してしまう構造があるのです。
2025年度のライバルと「評価の壁」を巡る論争
フォーエバーヤングを巡る年度代表馬の論争は、彼以外に国内の芝のビッグレースで大きな功績を残したライバル馬がいるからこそ、激しくなります。
• 世界基準を推す意見:BCクラシックは、世界的な権威やレーティング(格付け)において、日本の芝G1と比べても遜色ない、あるいはそれ以上の価値があると主張されます。「世界一の快挙を成し遂げた馬こそ、年度代表馬にふさわしい」という考え方です。
• 国内基準を推す意見:海外G1は偉業だが、年度代表馬はJRAの競馬ファンとメディアが選ぶ賞であり、国内最高峰のレースで勝ち、ファンに感動と盛り上がりを提供した馬が選ばれるべきだというものです。彼らが国内の芝G1を制したライバル馬に投票することで、論争が生まれます。
結論 歴史的偉業が評価の常識を打ち破るか
フォーエバーヤングのBCクラシック制覇は、日本の競馬の歴史において特筆すべき出来事であり、彼を年度代表馬に推す声が非常に多いことは間違いありません。
最終的に選ばれるかどうかは、年明けの選考委員会で、この「世界最高峰の海外G1制覇」という偉業を、伝統的な「国内芝G1」の功績よりも高く評価する記者が多数派となるかにかかっています。
フォーエバーヤングは、日本の競馬界が長年抱えてきた「海外レースの評価」という常識を、自らの力で打ち破る可能性を秘めた、歴史的な一頭なのです。
選考結果の発表は、競馬ファンにとって最も注目すべきニュースとなるでしょう。


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