薫英女学院 全国高校駅伝2025優勝候補検証 大阪女王が都大路で日本一を狙う勝ち筋とキーマン徹底解説

全国高校駅伝2025に挑む薫英女学院の立ち位置

全国高校駅伝2025女子は、2025年12月21日(日)に京都・たけびしスタジアム京都発着の5区間21.0975kmで行われます。女子のスタート時刻は10時20分予定で、コースは例年通りスタジアム発着の「都大路」周回コースです。

2024年の全国高校駅伝女子で薫英女学院は1時間8分5秒をマークして3位。全員が区間1桁順位でまとめる安定したタスキリレーを見せ、「来年は優勝を目指して」というコメントを残して大会を終えています。

2025年シーズンの都道府県予選が一通り終わった段階でのチームタイム比較では、宮城代表の仙台育英が1時間6分52秒で全体トップ、続いて大阪代表の薫英女学院が1時間7分13秒で2番手という位置づけ。長野代表の長野東、鹿児島代表の神村学園、埼玉栄、白鵬女子、立命館宇治、北九州市立など強豪校が追う構図になっています。

つまり薫英女学院は、「仙台育英と並ぶ優勝候補の一角」として都大路に乗り込むことになります。2014年・2016年には全国優勝の実績を持ち、2024年も3位と近年安定して上位争いを続ける女子駅伝界の名門です。

大阪府高校駅伝2025 薫英女学院のレース内容

薫英女学院は2025年11月1日に行われた大阪高等学校女子駅伝で、大会記録を大きく更新する1時間7分13秒の大会新記録で優勝。これで20連覇を達成し、全国高校駅伝への切符を手にしました。

レース展開を整理すると次の通りです。

・1区(6km) 河村璃央(3年) 19分5秒
　→いきなり独走態勢を築き、2位と55秒差のトップでタスキ渡し。区間記録に迫る快走。
・2区(4.0975km) 村井和果(2年) 13分3秒
　→区間新記録でリードをさらに拡大。中距離系のスピードを生かした破壊力ある走り。
・3区(3km) 田谷玲(2年) 9分27秒
　→こちらも区間新記録。U20世代の3000m障害でも上位に入るスタミナで独走を継続。
・4区(3km) 黒葛原唯夏(3年) 9分21秒
　→3区に続いて区間新。中盤区間でもまったく流れを崩さず、後続との差をキープ。
・5区(5km) 福本真生(2年) 16分17秒
　→区間トップでフィニッシュ。2年生ながら3000m9分31秒台のスピードを持つ成長株がきっちり締めました。

5区間すべてで区間トップ(うち3区間が区間新)という内容は、都道府県予選としても群を抜く完成度です。2024年の大阪府大会でも1時間8分34秒で19連覇を達成しており、そこからさらに1分以上タイムを縮めてきたことになります。

この大阪府大会の走りだけを見ても、「全国でも優勝争いに絡むだけの総合力」があることがよく分かります。

2025シーズン前半の戦いぶり くらよし女子駅伝V2など

2025年シーズンの薫英女学院は、都大路前の主要駅伝でもしっかり結果を残しています。

10月5日に鳥取・倉吉市で行われたくらよし女子駅伝(5区間21.0975km)では、薫英女学院Aが1時間8分25秒で2年連続4回目の優勝。Bチームも1時間10分14秒で2位に入り、チーム層の厚さを見せつけました。

レースでは、

・1区 河村璃央(3年) 区間賞
・2区 村井和果(2年) 区間賞
・5区 黒葛原唯夏(3年) 区間賞

と、主力3人が区間賞を獲得。3区・4区も区間2位という安定した内容で、2位に1分以上の差をつける完勝でした。

くらよし女子駅伝は全国高校駅伝と区間構成・距離がほぼ同じで、全国から強豪校が集まる前哨戦的な大会。その舞台でAチームが圧勝、Bチームも2位に入ったことは、「都大路でも表彰台争いに十分絡める総合力」を示すものと言えます。

主力メンバーと持ち味をチェック

ここからは、全国高校駅伝2025で中心となりそうな薫英女学院の主力メンバーを整理します。
全国高校駅伝のエントリー想定メンバーには、以下の7人が名を連ねています。

・河村璃央(3年)
・黒葛原唯夏(3年)
・仁賀あかり(3年)
・薮谷柚芽(3年)
・村井和果(2年)
・福本真生(2年)
・田谷玲(2年) 

河村璃央 1区で流れをつくるスピードランナー

・学年：3年
・主な種目：1500m・3000m・駅伝1区
・自己ベスト：3000m 9分22秒63(2025年全国ランキング13位)

大阪府高校駅伝では1区6kmを19分5秒でまとめ、2位と55秒差の独走スタート。くらよし女子駅伝でも1区区間賞を獲得しており、「序盤からレースを動かせる」タイプのエース格です。

2024年の全国高校駅伝では2区を区間3位で走った経験もあり、トラックでも全国レベルのレースを何度も経験しています。2025年の都大路では、昨年よりも成長した姿で1区を任される可能性が高いでしょう。

黒葛原唯夏 チームをゴールへ運ぶ「安定感抜群のアンカー」

・学年：3年
・主な種目：3000m・5000m・駅伝5区
・自己ベスト：3000m 9分23秒61(2025年全国ランキング15位)

くらよし女子駅伝では5区5kmで区間賞、2025年大阪府高校駅伝では4区3kmで区間新と、ロードレースでの安定感が光ります。

インターハイ3000m決勝でも入賞を経験しており、大舞台に強いタイプ。2024年の全国高校駅伝でも上位区間を任されており、2025年は「アンカー黒葛原」で日本一を狙う布陣が十分に考えられます。

村井和果 800m・1500mで全国トップクラスの中距離エース

・学年：2年
・主な種目：800m・1500m・駅伝2区
・自己ベスト：1500m 4分18秒90(全国高校上位の好記録)

2025年シーズンは800m・1500mでインターハイでも上位を争い、スピード系の種目で全国トップクラスの実力を示しています。くらよし女子駅伝では2区区間賞、大阪府高校駅伝でも2区で区間新と、ロードにおいても抜群のキレを発揮しました。

全国高校駅伝の2区(4.0975km)はスピード勝負になりやすい区間。ここに村井を置くことで、他校の留学生やスピードランナーと真っ向勝負ができる点は大きな武器です。

田谷玲 トラックとロードを兼ねるオールラウンダー

・学年：2年
・主な種目：3000m・3000m障害・駅伝中盤区間
・自己ベスト：3000m 9分30秒74、3000m障害 10分6秒59(U20日本選手権2位)

ハードな障害種目でも結果を残しつつ、ロードレースでも大阪府高校駅伝3区で区間新。アップダウンのある都大路の3区や4区でも安定した走りが期待できる選手です。

「どの区間に入っても仕事ができる」タイプなので、他校のエース配置や当日のコンディションを見ながら柔軟に起用される可能性があります。

仁賀あかり・薮谷柚芽 3年生の中盤支える存在

仁賀あかり(3年)は3000mで9分19秒台の自己ベストを持ち、くらよし女子駅伝では4区で外国人ランナーに次ぐ日本人1位の走りを見せました。

薮谷柚芽(3年)も中長距離で安定した成績を残しており、駅伝では3〜4区の「崩れてはいけない区間」を任されることが多いタイプ。3年生コンビが中盤をしっかりまとめてくれることで、チーム全体の安定感が一段と増します。

福本真生 伸び盛りの2年生ロングスパーター

・学年：2年
・主な種目：3000m・5000m・駅伝5区
・自己ベスト：3000m 9分31秒85(全国ランキング30位前後)

大阪府高校駅伝ではアンカー5区で16分17秒の区間トップ。距離の長い区間でも最後までペースを落とさず押し切れるタイプのランナーです。

黒葛原との組み合わせ次第では、5区を福本が担い、黒葛原を中盤の「勝負区間」に回すオーダーも十分に考えられます。

薫英女学院のチーム特徴と強み

全区間で戦える層の厚さ

大阪府高校駅伝で3区間が区間新、残り2区間も区間トップという内容からも分かるように、「どの区間に誰が入ってもハイレベルに走れる」層の厚さが最大の強みです。

くらよし女子駅伝でもAチームが優勝、Bチームが2位に入るなど、控え選手を含めた総合力は全国屈指。長距離エースだけでなく、中距離タイプも複数揃っているため、区間ごとの適性に合わせた柔軟なオーダーが組めます。

トラックシーズンから続く好調さ

河村・黒葛原・福本らは、全国リモートランキングの3000mで9分20〜9分31秒台の好記録をマークし、トラックシーズンから全国上位クラスの走力を示しています。

このトラックでのスピードが、秋のロードシーズンに入って大阪府大会・くらよし女子駅伝の好結果につながっており、「シーズンを通じて高いレベルで安定している」ことがうかがえます。

前哨戦で見せた主導権争いの強さ

くらよし女子駅伝では、1区河村・2区村井の連続区間賞で序盤から独走態勢を構築。3区・4区も区間2位でしのぎ、5区黒葛原が区間賞で締めるという「理想的な勝ちパターン」をすでに体現しています。

全国高校駅伝でも同様に、前半から主導権を握ることで他校にプレッシャーをかける展開を作りやすいチームと言えます。

全国上位常連校としての経験値

2014年・2016年には全国優勝、2024年は3位と、薫英女学院は長年にわたり都大路で上位争いを続けてきました。

「全国でどう戦えば良いか」を選手・スタッフともに理解している点は、初出場校や久々出場校にはない大きなアドバンテージです。特に2024年大会で3位に入った際には、全員が区間1桁でまとめるレース運びを見せており、その再現・上積みが2025年のテーマになります。

全国高校駅伝2025でのオーダー予想と勝ち筋

実際のエントリーや当日のオーダーは直前まで変動する可能性がありますが、大阪府大会やくらよし女子駅伝の区間配置、選手の持ち味を踏まえた「イメージとしての勝ち筋」は次のようになります。

理想は前半から主導権を握る展開

・1区 6km 河村璃央(3年)
　→大阪府・くらよしと同様に1区で流れをつくり、トップ〜数秒差の位置でタスキリレーしたい区間。

・2区 4.0975km 村井和果(2年)
　→スピード区間で他校の留学生やスピードランナーと勝負。必要以上に無理をせずとも、上位をキープできるだけの地力があります。

・3区 3km 田谷玲(2年) or 仁賀あかり(3年)
　→緩やかなアップダウンのある中盤で、順位を大きく落とさないことが重要な区間。

・4区 3km 仁賀あかり(3年) or 福本真生(2年)
　→レース全体の流れを決める「我慢の区間」。くらよしで日本人トップを取った仁賀や、安定感のある福本を置けるのは大きな強みです。

・5区 5km 黒葛原唯夏(3年) or 福本真生(2年)
　→最後の5kmで順位を2〜3つ押し上げるイメージ。黒葛原をアンカーに据える形が最もオーソドックスな「勝ちパターン」と考えられます。

理想的な展開としては、

・1区でトップ争いに加わる
・2区で大きく崩れず「表彰台圏内」をキープ
・3区・4区で10〜20秒以内のビハインドに抑える
・5区で黒葛原(想定)が前を追い、優勝争いに絡む

という流れです。

鍵になるのは中盤区間の「崩れない駅伝」

優勝を狙うチームにとって、3区・4区で大きなビハインドを背負わないことが非常に重要です。

薫英女学院は、3年生の仁賀・薮谷、2年生の田谷・福本など、中盤を任せられる選手が複数いるため、「誰か1人が多少崩れても他の区間でカバーできる」だけの安定感があります。

一方で、仙台育英や長野東、神村学園などは留学生や日本トップレベルのエースを複数抱えており、どこかの区間で一気に差をつけてくる可能性があります。その波にどこまで耐えられるかが、優勝争いに残るためのポイントになりそうです。

ライバル校との比較と現実的な目標ライン

全国高校駅伝2025女子は、予選タイムの面では仙台育英が頭一つ抜けた存在。その後ろに薫英女学院、長野東、神村学園、埼玉栄、白鵬女子、立命館宇治、北九州市立などが続く構図になっています。

この中で薫英女学院が目指す現実的なラインを整理すると、

・目標1：優勝争い(優勝〜3位)
・目標2：入賞圏内の安定キープ(8位以内)
・目標3：チームベスト更新(1時間7分台前半〜中盤)

といったところでしょう。

優勝を狙うには、

・1区〜5区まで「ほぼノーミス」でつなぐ
・どこかの区間で区間賞レベルの「もう1本の爆発」を出す

ことが必要になります。

一方、大阪府大会での大会新記録やくらよし女子駅伝V2、2024年全国3位という実績を考えると、「表彰台争いに絡みつつ、最低でも8位以内の入賞ライン」は十分に狙える位置にいると言えます。

まとめ 薫英女学院は仙台育英・長野東と並ぶ優勝候補の一校

ここまでの内容を改めて整理すると、薫英女学院は次のような特徴を持つチームです。

・大阪府大会で1時間7分13秒の大会新記録、20連覇で全国切符を獲得
・くらよし女子駅伝でも1時間8分25秒でV2、Bチームも2位に入る圧倒的な総合力
・河村璃央・黒葛原唯夏・村井和果・田谷玲ら、トラックでも全国上位クラスのランナーが揃う
・2014年・2016年の全国優勝、2024年3位など、都大路での豊富な経験値
・前半から主導権を握れるスピードと、全区間で崩れない層の厚さ

こうした要素を踏まえると、薫英女学院は「仙台育英・長野東と並ぶ優勝候補の一校」として全国高校駅伝2025を迎えると言って良いでしょう。

レース当日は、

・1区河村の入り方と位置取り
・2区村井がどこまで前をキープできるか
・3区・4区の中盤で大きく崩れないか
・5区黒葛原(または福本)のラスト5kmでの追い上げ

といったポイントを意識して観戦すると、薫英女学院の強さと駅伝の面白さがより伝わってくるはずです。

テレビや配信で全国高校駅伝2025を見る際には、ぜひ「薫英女学院5人がどんな表情でタスキをつなぐのか」に注目してみてください。