桐蔭学園 全国高校ラグビー2025優勝候補検証　花園3連覇へ挑む王者の最新戦力と勝ち筋まとめ

桐蔭学園は全国高校ラグビー2025でどんな立ち位置か

桐蔭学園は、現時点で全国高校ラグビー2025（第105回全国高校大会）における「最有力優勝候補の1つ」という評価で間違いありません。

主な理由は次の3点です。

・第104回全国高校ラグビー大会で2大会連続5度目の優勝（花園2連覇）
・2025年春の第26回全国高校選抜ラグビー大会でも優勝（2年ぶり5度目の春王者）
・第105回全国高校ラグビー大会でシード校に選出され、神奈川第1地区代表として3大会連続23回目の花園出場

第105回大会は記念大会で、2025年12月27日〜2026年1月7日にかけて、東大阪市花園ラグビー場などで開催されます。出場校は例年より5校多い全56校で、桐蔭学園は國學院栃木、大阪桐蔭、東福岡などとともに8つのシード校の1つに入っています。

花園2連覇と春の選抜優勝を同時に達成しているチームは他になく、実績面では「令和の一強」と言っていい存在です。

第104回全国高校ラグビーでの戦いぶりを整理

まずは、直近の全国大会である第104回全国高校ラグビー（開催期間2024年12月27日〜2025年1月7日）の桐蔭学園の勝ち上がり方を整理します。

・2回戦　流通経済大柏に48−7で快勝
・3回戦　山梨学院に46−0で完封勝ち
・準々決勝　大阪桐蔭との「桐蔭対決」を26−14で逆転勝ち
・準決勝　國學院栃木に25−14で逆転勝ち
・決勝　東海大大阪仰星を40−17で退けて優勝

2回戦では流通経済大柏を相手に前半19−7、後半29−0と、後半に突き放す形で48−7の大勝。

3回戦は山梨学院に46−0で完封勝ち。ディフェンスの集中力とブレイクダウンの強さが際立つ内容でした。

勝負どころは、大阪桐蔭との準々決勝と、國學院栃木との準決勝です。

・準々決勝　大阪桐蔭 14−26 桐蔭学園

　前半は大阪桐蔭に2トライを許し14−7とリードされながらも、後半は桐蔭学園が3トライを奪い0−19。結果として14−26の逆転勝ちで、「桐蔭頂上決戦」を制しました。

・準決勝　國學院栃木 14−25 桐蔭学園

　前半は14−8とリードされながらも、後半は0−17と再び相手を無得点に抑えての逆転勝ち。後半のギアチェンジと修正力の高さが光りました。

決勝では、東海大大阪仰星を相手に前半12−0、後半28−17で合計40−17。攻守にわたり相手を上回り、2大会連続5度目の全国制覇を決めています。

特徴的なのは、準々決勝・準決勝ともに「前半はリードされても後半でひっくり返している」点です。後半のフィットネス、ベンチメンバーを含めた選手層の厚さ、相手の分析と戦術修正力がずば抜けていることがわかります。

2025年シーズン前半の実績

選抜大会優勝と神奈川予選決勝78−7

2025年シーズン前半、桐蔭学園は全国高校選抜大会と神奈川予選でも強さを見せています。

まず、第26回全国高校選抜ラグビー大会。

・決勝　桐蔭学園 36−0 京都成章

花園でも上位常連の京都成章を相手に、前半10−0、後半26−0の完封勝ちで、2年ぶり5度目の選抜優勝を果たしました。

続いて、第105回全国高校ラグビー大会・神奈川県第1地区予選。

ニッパツ三ツ沢球技場で行われた決勝で、桐蔭学園は日大藤沢を78−7で圧倒し、3大会連続23回目の花園出場を決めています。

ここまでをまとめると、

・冬の花園（第104回）優勝
・春の選抜大会優勝
・夏以降の7人制や各種大会でも安定して上位
・秋の神奈川予選でも大差で勝ち抜き

という形で、年間を通してほぼ「日本の高校ラグビーのトップ」を走り続けている状態です。

桐蔭学園のチームスタイルと強み

桐蔭学園のラグビーを一言で表すなら、「精度の高い基本スキルをベースに、フィジカルと展開力を両立させた完成度の高いラグビー」です。

主な強みを整理すると、次のようになります。

1つ目　80分間落ちない運動量と後半のギアアップ

・第104回大会では準々決勝と準決勝で前半リードされながら、後半に相手を無得点または1トライ程度に抑えて逆転勝ち。

・フィットネスと選手層の厚さが、接戦をものにする最大の武器になっています。

2つ目　堅牢なディフェンスとブレイクダウンの強さ

・山梨学院戦の46−0、選抜決勝の36−0など、「完封勝ち」が象徴的です。

・前に出るタックルと、接点でのプレッシャーにより、相手のアタックを浅い位置で止め続けられるのが強みです。

3つ目　キックとパスを絡めた多彩なアタック

・2回戦の流経大柏戦、決勝の東海大大阪仰星戦では、キックとパスを織り交ぜながら幅広くボールを動かして得点を重ねました。

・BK陣のスキルレベルが高く、相手のディフェンスラインのギャップを突く「つなぐラグビー」が持ち味です。

4つ目　経験値の高い主力と厚い選手層

・CTB坪井悠、CTB古賀啓志ら、選抜・花園で何度も全国の舞台を経験してきた選手が中心。

・花園や選抜の決勝の緊張感を知るメンバーが多く、プレッシャーのかかる場面でも冷静にゲームを運べるのが他校との大きな差です。

注目選手・ポジションの見どころ

公式の背番号やポジションは大会ごとに変わる場合がありますが、各種レポートから見えてくる「キーマン」を簡単に整理しておきます。

・CTB 坪井悠

　インサイドCTBとしてスペース感覚に優れ、攻守両面でBKの中心を担う選手です。選抜決勝でも得点に絡み、春王者奪還に大きく貢献しました。高校日本代表候補にも名前が挙がるなど、全国的にも注目度の高いセンターです。

・CTB 古賀啓志

　縦への突破力に優れたセンターで、坪井選手とのコンビで相手ディフェンスのギャップを突きます。春の選抜大会でも相手チームにとって大きな脅威となっていました。

・CTB 松本桂太（2024年度主力）

　第104回全国大会決勝で先制トライを挙げたCTB。幼少期の大けがを乗り越え、花園決勝の大舞台で輝いたストーリーもあり、「勝負強さ」を象徴する存在でした。すでに卒業していますが、彼の代が築いた「勝ち癖」は今のチームにも受け継がれています。

・FW陣（前鹿川雄真、喜瑛人、足立佳樹 ほか）

　前に出るフィジカルと運動量を兼ね備えたFW陣も桐蔭学園の大きな強みです。U17日本代表候補や全国大会経験者が多く、スクラム・ラインアウトだけでなく、オープンプレーでも前進力を生み出します。

上記以外にも、ハーフ団やバック3に有望選手がそろっており、「誰か1人を止めればいい」というチームではなく、どこからでもトライを取り切れる総合力の高さが際立っています。

全国高校ラグビー2025での勝ち筋と不安要素

最後に、第105回全国高校ラグビー（2025−2026シーズン）での桐蔭学園の勝ち筋と、あえて挙げるならどこに不安があるのかを整理します。

勝ち筋

・花園2連覇＋春の選抜優勝という「実績」と「経験値」の差

・後半にギアを上げられるフィットネスと層の厚さ

・FWで前に出つつ、BKでトドメを刺すバランスの良いゲームプラン

・複数の世代で全国タイトルを取っているため、チーム文化として勝ち方を知っている

不安要素

・大阪桐蔭、國學院栃木、東福岡、京都成章など、対戦経験のある強豪校は「桐蔭学園対策」をかなり詰めてくると考えられる

・記念大会で56校出場・シード8校という形になるため、トーナメントの山次第では、準々決勝・準決勝の前に激戦区に入る可能性がある

・3連覇を目指すがゆえの「プレッシャー」をどうマネジメントできるか

とはいえ、現時点（2025年11月末）での総合力・実績・安定感を総合すると、桐蔭学園が今大会の「本命グループの筆頭」であることは揺るぎないと言ってよさそうです。

花園での3連覇達成なるか。

「どの山に入るか」「どのタイミングで大阪桐蔭や東福岡、國學院栃木と当たるか」という視点で組み合わせをチェックすると、より一層大会を楽しめるはずです。