- 藤岡奈穂子さんが、どんな経歴・プロフィールの元女子ボクサーなのか知りたい
- 日本人初の「世界5階級制覇」がどれだけすごいことなのか整理して押さえたい
- ソフトボール選手からボクシングに転向して、どのように世界のトップまで登りつめたのか流れで理解したい

この記事を読めば藤岡奈穂子さんについて、
- 宮城県出身のソフトボール選手からボクサーへ転向したバックグラウンド
- アマチュア・プロそれぞれの戦績と、獲得してきた世界タイトルの歩み
- 5階級制覇やアメリカでの勝利、引退後の動きや殿堂入りのニュース
が一通り整理できます。女子ボクシングの歴史を語る上で欠かせないレジェンドの歩みを、できるだけ分かりやすくまとめます。
藤岡奈穂子のプロフィール

まずは基本的なプロフィールを押さえておきます。
- 名前:藤岡 奈穂子(ふじおか なおこ)
- 生年月日:1975年8月18日
- 出身地:宮城県大崎市(旧・古川市)
- 身長:158cm前後
- 構え:オーソドックス
- アマチュア戦績:23戦20勝(KO/RSC12)3敗
- プロ戦績:23戦19勝(7KO)3敗1分
- プロデビュー:2009年9月15日(vs ナパポーン・ブーンチュオン)
- 現役期間:2009年〜2022年頃
- 主な獲得タイトル:
- OPBF東洋太平洋女子ミニフライ級王座
- WBC女子世界ミニフライ級(ストロー級)王座
- WBA女子世界スーパーフライ級王座
- WBO女子世界バンタム級王座
- WBA女子世界フライ級王座
- WBO女子世界ライトフライ級王座(5階級制覇達成)
日本人として初めて、男女通じて世界5階級制覇を成し遂げたレジェンドとして知られています。
ソフトボールからボクシングへ転向した異色のキャリア
藤岡さんのスポーツ人生は、もともとソフトボールからスタートしています。
- 古川女子高校時代はソフトボール部の遊撃手として活躍し、インターハイ出場も経験
- 高校卒業後も実業団チームでプレーし、国体には高校・社会人を通算5回出場するなど、一流のソフトボール選手として実績を残しています
その一方で、24歳のときにボクシングと出会い、本格的に競技を始めます。
地元の古川リバーサイドジムに入門したのが1999年頃で、そこから一気に才能が開花しました。
ソフトボールで培った
- フットワーク
- 体幹の強さ
- 反射神経
が、ボクシングの動きにも自然に生き、比較的遅い年齢からボクシングを始めたにもかかわらず、トップレベルへ一気に駆け上がっていきます。
アマチュア時代の主な実績と戦績
アマチュアボクサーとしての戦績は、
- 23戦20勝(12KO/RSC)3敗
という堂々たる数字です。
主な実績としては、
- 全日本アマチュア女子選手権で5度優勝(日本王者複数回)
- 2004年「国際女子トーナメント」で銀メダルを獲得
- 2008年 世界選手権に出場
- 国内の公式戦では無敗のままプロに転向したとされる
など、「日本女子アマチュアのトップ」として長く君臨してきました。
ソフトボールの実績だけでも立派ですが、そこからアマチュアボクシングでも国内トップクラスまで上り詰めたあたりに、藤岡さんの運動能力と努力量のすごさが表れています。
33歳でプロ転向 世界タイトルまでのスピード出世
藤岡さんがプロボクサーに転向したのは、33歳のとき。普通なら「そろそろ引退を考える年齢」と言われてもおかしくないタイミングからのスタートでした。
プロデビュー〜初タイトル獲得
- 2009年9月15日 プロデビュー戦で2ラウンドTKO勝ち
- デビューから3連続TKO勝ちで一気に頭角を現す
- 2010年9月 OPBF東洋太平洋女子ミニフライ級王座を獲得(vs カニッタ・コーキエットジム)
ここまでの流れだけでも“遅咲きの怪物”ぶりが伝わりますが、勢いは止まりません。
初の世界タイトル WBC世界ミニフライ級王者に
- 2011年5月 WBC女子世界ミニフライ級(ストロー級)王座をアナベル・オルティスから奪取
- その後この王座を2度防衛
- さらに上の階級を目指すために王座を返上し、スーパーフライ級へ
女子ボクシングの世界で名を知られるきっかけになったのが、この初戴冠です。
テクニック、手数、スタミナ、そして何より「勝ちたい」という気持ちの強さが際立っていました。
世界5階級制覇へ タイトル獲得の歩み
藤岡さんのキャリアを語る上で欠かせないのが、日本人初の「世界5階級制覇」です。
どのように階級を上げ下げしながらタイトルを集めていったのか、ざっくり流れを整理します。
世界タイトル獲得の主な流れ
- 2011年
- WBC世界ミニフライ級(ストロー級)王座獲得(1階級目)
- 2013年
- WBA世界スーパーフライ級王座獲得(2階級目)
- 2015年
- WBO世界バンタム級王座獲得(3階級目)
- 2017年3月
- WBA世界フライ級王座獲得(4階級目)
- 2017年12月
- WBO世界ライトフライ級王座獲得(5階級目)
このライトフライ級王座の戴冠によって、藤岡さんは
日本人として初めて、男女を通じて「世界5階級制覇」を成し遂げたボクサー
となりました。
なぜ5階級制覇がすごいのか
- 階級を上げれば相手は当然大柄・パワフルになる
- 階級を下げれば減量によるコンディション管理が難しくなる
- それぞれの階級で世界トップクラスの選手に勝たないとタイトルには届かない
こうした条件をすべて乗り越え、複数の階級で世界王座を取っている点で、藤岡さんの5階級制覇は「日本ボクシング史に残る偉業」と言えます。
フライ級時代と海外挑戦 アメリカでの勝利とラストファイト
2017年以降は主戦場をフライ級に移し、WBA世界フライ級王者として長く君臨しました。
- 2017年3月 WBA世界フライ級王座獲得
- 2018年9月 初防衛戦でイルマ・サンチェスに判定勝ち
- 2019年7月 天海ツナミとの王座統一戦はスプリットドローで防衛
そして、キャリア終盤には海外でのビッグマッチにも挑みます。
- 2021年7月 アメリカ・ロサンゼルスでの試合に勝利し、「日本人女子ボクサーとして初めて米国リングで勝利した」と報じられる
- 2022年4月9日 マーレン・エスパルサとのWBA・WBC世界フライ級王座戦で判定負け。この試合が事実上のラストファイトとなり、WBA王座から陥落
このエスパルサ戦までのプロ通算成績が
23戦19勝(7KO)3敗1分
という数字です。
引退表明とその後 国際ボクシング殿堂入りのニュースも
藤岡さんは、2023年5月に現役引退を表明したとされています。
その後は、
- 各種メディアやイベントでの出演
- スポーツや食育に関わる取り組みへの参加
- 自身の経験をもとにした講演活動
など、「元世界王者」としての経験を次世代に伝える活動を続けています。
さらに最新ニュースとして、
- 2026年に行われる「国際ボクシング殿堂(International Boxing Hall of Fame)」の殿堂入りクラスに、藤岡奈穂子さんが選出されたことが報じられています。
日本人初の5階級制覇という実績だけでなく、長年女子ボクシング界をけん引してきた功績が、世界的にも高く評価された形です。
年表で見る藤岡奈穂子のボクシング経歴まとめ
最後に、主要なポイントを年表風に整理しておきます。
- 1975年
- 宮城県古川市(現・大崎市)に生まれる
- 高校〜社会人時代
- ソフトボール選手としてインターハイ出場、国体5度出場
- 1999年頃
- 古川リバーサイドジムでボクシングを始める
- 2000年代前半
- 全日本アマチュア選手権で複数回優勝
- 2004年 国際女子トーナメント銀メダル
- 2008年 世界選手権出場
- 2009年
- 33歳でプロ転向、9月にプロデビュー戦勝利
- 2010年
- OPBF東洋太平洋女子ミニフライ級王座獲得
- 2011年
- WBC世界ミニフライ級王座獲得(初の世界タイトル)
- 2013年
- WBA世界スーパーフライ級王座獲得(2階級制覇)
- 2015年
- WBO世界バンタム級王座獲得(3階級制覇)
- 2017年3月
- WBA世界フライ級王座獲得(4階級制覇)
- 2017年12月
- WBO世界ライトフライ級王座獲得、日本人初の5階級制覇達成
- 2018〜2019年
- WBA世界フライ級王座を防衛し続け、女子フライ級トップの一角として君臨
- 2021年7月
- アメリカでの試合に勝利し、日本人女子として初の米国リング勝利を飾る
- 2022年4月
- マーレン・エスパルサ戦で判定負け、WBA世界フライ級王座陥落
- 2023年5月
- 現役引退を表明
- 2026年クラス
- 国際ボクシング殿堂入りメンバーに選出(予定)
藤岡奈穂子さんは、「遅咲き」「小柄」というハンデをものともせず、
- ソフトボール
- アマチュアボクシング
- プロボクシング
と、ステージを変えるたびに“そのカテゴリーの頂点”に近いところまで上り詰めてきた選手です。
経歴を振り返ると、
「年齢やスタートの遅さは言い訳にならない」
というメッセージを強く感じさせてくれます。今後も、解説・指導・講演などを通じて、ボクシング界だけでなく多くの人に影響を与え続けていく存在になりそうです。



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